側弯症でも体は変わる。痛みの軽減から姿勢の再構築まで──Kさんの3年間
長い年月を経て、ようやくつながったご縁
この記事でご紹介する海外在住のKさん(50代)が
私のレッスンに出会ってくださった背景には、長い年月の葛藤があります。

11歳で側弯症を発症し、
大阪から東京の病院へ年に何度も通いながら、
医師の指示どおりにコルセットを着けて過ごす毎日。
やがて歪みが進み、
「このまま角度が強くなれば手術になります」と告げられた頃には、
通院そのものに心がついていかなくなっていったと話してくださいました。
高校生になると、頼りにしていた整体院の先生から
「ここまでずれていると、調整するのが怖い。ごめんね」
と施術を断られ、
それ以来、安心して体を預けられる場所を見つけられないまま時間が過ぎていきました。
スポーツは避け、やさしいヨガでさえ負担になる。
何をすれば良いのか、どこに向かえば良いのか分からない。
そのような状況で、KさんはYURUKUにたどり着かれました。
「手だてがない」と感じていた理由
側弯症の方が、
手術やコルセット装着以外に取り組まれることというと
- 弱い筋肉を鍛える
- 縮んだ部分を伸ばす
- 硬くなった筋肉を施術でゆるめる
といった、一般的に行われているアプローチです。

Kさんも、私が提唱している、
長い時間をかけて積み重なった“ねじれグセ”そのものを整える取り組みは、
これまで一度も経験されていませんでした。
背骨のねじれが強い方は、
「強いねじれグセ」を持っているということ。
そのクセは無意識の層で繰り返されているため、
気づくこと自体が難しく、
さらに改善となると相当な入口の狭さを感じます。
だからこそ、どれだけ努力しても
「改善につながらない」「また戻ってしまう」
という現象が続いていました。
Kさんが「もう手だてがない」と感じてしまったのも無理のない状況でした。
私がKさんのレッスンをお引き受けした理由
Kさんのお体の状態が、
これまで私がサポートしてきた中でも非常に厳しい部類に入ることは、
最初から分かっていました。
だからこそ、私自身も軽い気持ちでお引き受けしたわけではありません。
私は、どんな状況であっても、
「どうにかしてください」と
体を預ける形のご依頼はお引き受けしていません。
誰かが他人の体を“治す”ことはできないと考えているからです。
変化を生み出すのは、
いつもご本人の体であり、ご本人の選択です。
その一方で、
自分の体と向き合い直す覚悟を持ち、
日常の動きに潜む「ねじれグセ」に取り組む意思がある方であれば、
体には必ず、まだ扉が残されています。

その扉を開けられるかどうかは、
「自分の体と、もう一度つながり直すことを選べるか」
ただ一点にかかっています。
Kさんは、その覚悟を示されていました。
私はそこに確かな可能性を感じ、この歩みをご一緒する決断をしました。
こうして、Kさんとの長い歩みが始まりました。
初回レッスンで見えた、体のねじれの特徴
Kさんのお体を拝見して、
まず明確にわかったのは「関節弛緩性」が強いタイプであるということでした。
関節がとても柔らかく、どんな動きでも難なくできてしまう――
一見すると良いことのように思えますが、
ここに大きな落とし穴があります。
たとえば、物を取る動作一つで体が歪んでしまうのです。

通常なら腕だけでは届かない位置の物を取るには、
体を軽くひねる動きが加わります。
ところがKさんは、腕の可動域が広すぎるため、
本来「体をひねる」場面であるはずの動作を、
腕だけで完結させてしまうのです。
日常生活には、
左右非対称の動作が数えきれないほどあります。
私たちは腕を最もよく使うため、
日々の暮らしの中で偏った使い方を繰り返すと、
その力は背骨へと確実に伝わっていきます。
なぜ腕の使い方が背骨のねじれにつながるのかというと、
腕の筋肉は、
「肩甲挙筋」「僧帽筋」「菱形筋」「広背筋」といった
背骨に付着している筋肉に筋膜で繋がっているからです。

これらの筋肉に、左右偏った腕の動きが重なると、
付着部位があちらこちらに引っ張られ、
背骨をねじる力として蓄積されていきます。
そして関節が柔らかい方の場合、
その影響を受けやすいのです。
これは側弯症の方に限ったことではなく、
多くの方のねじれの原因にもなっています。
Kさんのお体にも、
まさにこの特徴がはっきり現れていました。
日常動作を整えることで、Kさんに起こった心と体の変化
“頑張る”から“労わる”へ──心の緊張がほどけていくプロセス
前述のとおり、
Kさんは、関節がとても柔らかく「ここまでで十分」という
範囲がつかみにくい特徴をお持ちでした。
必要以上に動けてしまうため、
適切な位置や加減を見失いやすく、
日常動作の見直しには細やかな工夫が欠かせませんでした。

たとえば、
動かしたくない場所を手で押さえる練習の際、
押さえている腕まで一緒に動いてしまうことがあります。
その度にKさんの体の反応を丁寧に伺いながら、
より体に合う方法へ細かく調整し続けました。
当初は、不安や焦りが大きかったはずです。
Kさんはその頃のことを、こんなふうに話してくださいました。
「痛みや不調があるのに、何をどう動かせば良いのか分からず、
できていない自分に焦ってしまうことがよくありました。
ちゃんとできているのか不安で、つい力が入ってしまう状態でした。」
それでもKさんは、
提案したひとつひとつの取り組みに真剣に向き合い続けてくださいました。
やがて、
その変化の兆しは、ご本人の言葉の中に表れていきます。
「何十年もかけて曲がったままバランスを取ってきた体、
いきなり変わることなんてできませんよね。
なのに、自分の身体を責め酷使していたことに気づきました。
労わって心地よくなる方向にもっていってあげようと思えた瞬間から、
肩の力が抜けていきました。」
“良くなるために頑張らなきゃ”という思いで固くなっていた心が、
少しずつほどけていかれる姿は、とても印象に残っています。
体の声が聞こえるようになった3年間──動き・思考・感覚が整った結果
動きや感覚が整っていく過程では、
痛みや不具合が出た時にすぐ外側へ答えを求めてしまう
ご自身の思考のクセにも気づかれました。

「どうしてこうなったの?」と不安が先立つ場面でも、
少しずつ体の声に意識を向けられるようになり、
心の向き合い方そのものが変わっていきました。
レッスン期間は、
2クール(2年)+隔月1年、合計3年間で30レッスン。
最初の2年で悩まれていた痛みと不調は
100% → 30〜40%へ改善。
最後の1年では、
姿勢が左右対称に近づき、背中や体幹の立体感がはっきりと現れました。
(ビフォーアフター写真はこの後ご紹介します。)
レッスンを終えたKさんは、こう話してくださいました。
「体の声を聞き、向き合えるようになったので、ここからは自分でやっていきます。」
その言葉を聞いた瞬間、
Kさんがご自身の体を信頼できる段階に到達されたことを深く感じました。
さらに最後には、
こんな温かいメッセージも寄せてくださいました。
「灯台のように、いつも明るく光っていて、船が迷ったり困難に出遭った時には
間違いなく目指すべき方向を示してくれる。
Yuruku と Noriko 先生は私にとってそんな存在になりました。」
レッスンを重ねた3年間の道のりが、
今のKさんのしなやかで落ち着いた在り方につながっています。
「ねじれグセ」が整った姿──3年間の積み重ねが表れたBefore/After
3年間、Kさんはご自身の体と真剣に向き合いながら、
日常動作のひとつひとつを丁寧に整えてこられました。
その積み重ねは、痛みの軽減や感覚の変化だけでなく、
姿勢そのものにも確かな変化として表れています。
レッスンの中でKさんは、
「以前は、できるだけ真っ直ぐに見えるように頑張って立っていました」
と話してくださったことがあります。
関節が柔らかく、無理が利く体だったため、
一見すると大きく歪んでいるようには見えませんでした。
けれどその分、体の内側では常に負担を抱え、悲鳴を上げている状態でした。
Kさんが歩んでこられた時間の“証”として、ぜひご覧ください。


Kさんからのメッセージ
ここまでご紹介してきた変化の背景には、
Kさんがご自身の体と真剣に向き合い、
揺れながらも一歩ずつ歩み続けてこられた時間があります。
その過程で感じた迷い、気づき、そして「続けてきてよかった」と思えた瞬間……。
レッスンの内部で起きていたことを、
同じお悩みを持つ方に向けて、
Kさんご自身の言葉で丁寧につづってくださいました。
ひとつの体がどう変わっていくのか、
その心の動きとともに感じていただける内容です。
それでは、Kさんのメッセージを3つに分けてご紹介します。
①「このまま歳を重ねていくこと」への不安の中で

今から約3年前、
Yurukuのパーソナルを受けようと決めた時、
私の身体は痛みと不快感、
様々な症状で悲鳴を上げていました。
その数年前から、
身体の捻じれがひどくなっているのを感じており、
食事をするときに箸を持ちにくくなってきたり、
日常生活にも支障が出始めていました。
そして長年側弯症持ちのため、
このまま歳を取ったらどうなっていくのか、
いつも不安でした。
若い頃からカイロプラクティックや整体など
ありとあらゆる療法を試し手術は避けてきましたが、
よほど軽い側弯でなければ完治することは滅多にないといわれる中、
対症療法でやり過ごすだけという状況。
これから悪化してもただ受け入れて
諦めるしかないのかという暗澹たる思いでした。
Yuruku のレッスンは以前に一度だけ
インストラクターの方と対面で受けたこと がありましたが、
海外在住のため継続するのは難しく、
側弯持ちの自分には今一つピンとこな いところがありました。
Noriko 先生が無料で紹介されていた
椅子 Yuruku などの軽い動きをやっ てみても、
なぜか自分は痛いし辛いし。。。
そのうち楽になるんだろうか ??
そんな時 Yuruku のパーソナルを知り、
自分に合った指導を受けて
自分で身体を整えていくつになっても歩ける身体を作りたい!
と不安と期待いっぱいで申し込んだ日を今も覚えています。
でも、振り返ると
身体の辛さからかなり精神的に追い込まれていたので、
悲壮感も相当あったと思います。
---②に続く---
②期待が砕ける中で、向き合い方が変わり始めた

最初の頃のレッスンは、
その期待いっぱいが次々と打ち砕かれていく、
かなりしんどいものでした。
捻じれて緊張して痛む身体。
言われたように動かしても、全然ピンと来なかったり、
どっちの動きが楽か違いを聞かれてもよくわからなかったり、
その場は大丈夫でも後で身体が痛かったり(泣)
そして関節が緩いので
動き自体はけっこうこなせるけど、
身体がぐらぐら安定せず気持ち悪い。。。
そんなこんなでレッスンの数日後に、
LINE で SOS メッセージを送ることも度々、
なんだか申し訳ない思いと情けない思いでいっぱいでした。
ある時には身体が痛く動きづらいため、
バランスを崩し重いものを足の甲に落として腫れあがり、
しばらく練習ができなくなったり。。。とにかく踏んだり蹴ったり。
そんな中、Noriko 先生のアドバイスで、
“杖に頼りすぎない”というのがありました。
教えてもらったことを実行する中で、
痛くなったり色々不具合が起こる中、
まず自分の身体に耳を傾けるのではなく、
“なんでこんなことになってんのおー!(プチパニック)”と
思考停止になって先生に助けを求めたり、
外的なものに頼りたい(例えば薬とかサポーターとか)傾向があるということに気づきました。
自分の痛みや症状に対する反応には、
育ってきた環境による心理的な影響もあったりで、
変わるのは簡単ではなかったですが、
だんだんと自分の身体と向き合うことができるようになり、
すぐに楽になることを求めるのではなく、
じっくりと地味な練習を続けて、
しんどかったら“自分で”加減を調整したり、
できない時には無理せず休んで、
次のレッスンまでゆる~く取り組んでいくことができるようになりました 。
---③に続く---
③責める体から、信頼できる体へ

何十年もかけて曲がったままバランスを取ってきた体、
いきなり変わることな んてできませんよね。
なのに、
自分の身体を曲がっていて不自由で不甲斐ないと
責め酷使していたことに気づきました。
責めるのではなく、
労わって心地よくなる方向にもっていってあげよう。。!
それからは肩の力が抜け、
調子が良い時にはしばらくすっかり練習を忘れたりすることも(笑)
“良くなるためにとにかく頑張らなきゃ!”ばかりでなくて、
楽に構えることができるようになっていきました。
そして徐々に身体が変わっていくにつれ、
レッスンで教えていただいた動きも、
ほとんど痛みがなく練習できるようになり、
2年を終えた頃、
最初と比べて痛みと不調が30-40%ぐらいに減ったところで、
隔月のレッスンにシフトし、さらに1年間続けました。
最後の1年は、
レッスンとレッスンの間に先生にヘルプを求めることもなく、
ゆっくり身体の声を聞きながら、
教わったことを落とし込むことができるようになっていました。
そして最終のレッスン後、
3年前と現在の姿勢を比べた時、
身体がより左右対称で立体的になっていて感動!!
レッスンを終了した今、不安がゼロとは言えませんが、
ここからは自分で今まで教わったことを念頭に、
いつも身体の声を聴いて向き合うということを
気楽にゆるく継続していきたいと思います。
痛みにフォーカスせず、楽を探していく。。
そしてもっと楽でしなやかな身体になりたいです。
Noriko 先生は、
いつも落ち着いていてにこやかで、
捻じれまくっている私の身体をじっくりひも解いていってくれて、
練習のための動きも面白い名前をつけてくれたり
(絶対忘れない、“ハンドバッグを持ったええとこの奥様歩き!”)、
なかなか一筋縄にはいかない私とのレッスンを
楽しく辛抱強く行って下さったので、
挫けることなく続けることができました。
灯台のように、いつも明るく光っていて、
船が迷ったり困難に出遭った時には
間違いなく目指すべき方向 を示してくれる。。。
Yuruku と Noriko 先生は、私にとってそんな存在になりました。
Noriko先生、
3年間どうもありがとうございました、
そしてこれからもどうぞ宜しくお願いします^^
距離を越えて育った、体との信頼関係
Kさんは海外にお住まいのため、
オンラインレッスンでなければ、ここまで深く続けることはできませんでした。
画面越しではありましたが、
毎月のレッスンを重ねる中で、
体の変化と体との向き合い方を共有してきました。
距離はあっても、
体に向き合う時間を重ねることで、信頼は自然と育ちます。
Kさんとの3年間は、
体と向き合う選択さえできれば、環境は制限にならないと教えてくれました。
同じように悩む方へ
側弯症でお悩みの方は、現在も10名以上レッスンを受講されています。
誰でも背骨には多少のねじれがありますが、
側弯症と診断されている方は、その中でも特に強いねじれをお持ちです。
言い換えると、「強いねじれグセ」が体にしっかりと根づいている状態です。
そして“クセ”とは、本来、気づけないことが当たり前のものです。
その気づけない領域に丁寧に踏み込み、体の声を聞きながら整えていく――
これが私がお伝えしているレッスンの特徴です。

筋トレやストレッチを取り入れないのも理由があります。
ねじれグセが残ったまま力で動かしたり伸ばしたりすると、
かえって負担が大きくなるためです。
まずは土台となる“ねじれの解消”を優先し、
体に負担をかけず自然に整う方向へ導くことを大切にしています。
冒頭でもお伝えしたように、
「治す」という言葉を使うつもりはありません。
ですが、
これまで“ねじれグセ”そのものを丁寧にほどく”という取り組みを、
長期間しっかり続けてこられた方はほとんどいません。
だからこそ私は、
「まだ方法がないわけではない」
そう確信しています。

側弯症であっても、
ねじれグセの状態を知り、
体の声を聞きながら向き合い、
やさしい練習を積み重ねることで、
今よりずっと楽な体に近づけます。
不安を抱えたまま、ひとりで我慢し続けなくて大丈夫です。
その方のお体に合わせたアプローチを
ご提案できますので、安心してご相談くださいね。
Kさんが取り組まれてきたのは、
体に触れず、自分の感覚を取り戻しながら
日常の中にある“ねじれグセ”に向き合っていくレッスンです。
この考え方をさらに深め、
一人ひとりの体と、より丁寧に向き合うために、
4月からは新しいレッスンプランへ移行します。
現在は、
『パーソナル・コンプリートコース(旧プラン)』を開講しており、
1月5日(月)8:00に、3月生の募集を開始します。
▶ (旧プラン)パーソナル・コンプリートコース詳細
新プランに移行する4月生の募集は、2月に開始予定です。
▶ (新プラン)パーソナル・ボディリコンディショニングコース詳細
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