「何を取り入れるか」の前に、「届けられる体か」
43歳で出産されたSさんのお話から、改めて考えたこと
「先生に、お伝えしたくて。」
「先生に、お伝えしたくて。」
今年1月、一通のLINEが届きました。
送ってくださったのは、2024年にご夫婦で講座を受講されたS子さんです。
そこには、こんなことが書かれていました。

43歳で自然妊娠出来て、
妊婦生活もつわりなし、腰痛も痛いかなと思ったら調整して改善でき、便秘もなく過ごせました。昨日、3231g・50cmの女の子を出産しました。
胎盤と臍の緒が立派で、たくさん赤ちゃんに栄養と酸素が届いていたと褒めてもらえました。
これもユルクに出会えたことに感謝しております。
のりこ先生にもぜひお伝えしたくLINEさせていただきました。
このLINEを読んだ時、とても嬉しくなりました。
そして今回、改めてお話を伺う機会をいただきました。
6か月前にいただいたこのメッセージが、この記事のきっかけです。
お願いしたところ、
「お役に立てることでしたら喜んでです!」
と、快くご協力くださいました。
本当にありがとうございます。
これは「妊娠する方法」の記事ではありません
この記事は、
「これをすれば妊娠できます。」というお話ではありません。
妊娠や出産には、
・年齢
・健康状態
・医療
・栄養
・睡眠
・生活習慣
など、本当にたくさんの要因が関わります。
一つの方法だけで結果を語ることはできません。
それでも、S子さんのお話を伺って、
「やっぱり、このことを伝えたい。」
と思いました。
それは、
体が本来働きやすい環境を整えること。
私は、そのことを
『体内インフラを整える』
という言葉でお伝えしています。
その考え方が日々の暮らしの中でどのように育まれていくのかを、深く実感する機会をいただきました。
妊娠や出産という特別な出来事を通して見えてきたのは、
特別なことを頑張る体づくりではなく、
毎日の生活の中で、
体が本来持っている働きを大切にしていくことでした。
Sさんのお話を通して、
「体内インフラ」という考え方を、一緒に考えていただけたら嬉しいです。
前回の記事をまだ読まれていない方へ
以前公開した記事
【もうこれ以上、足したくないと思ったときに読む話|体内インフラを整えるという身体改革】では、
体は、栄養や酸素を運ぶ「仕組み」そのものが整ってこそ、
本来の働きを発揮しやすくなるという考え方を書きました。
今回の記事は、その続編です。
まだお読みでない方は、先にお読みいただくと、今回の記事もより分かりやすいと思います。
▶もうこれ以上、足したくないと思ったときに読む話|体内インフラを整えるという身体改革
なぜ私は「体内インフラ」という考え方にたどり着いたのか
私たちは、体に「何を取り入れるか」には意識を向けます。
・栄養バランス
・サプリメント
・運動
・睡眠
どれも、体を大切に思うからこその選択です。
でも、
「取り入れたものを届ける仕組み」
について考える機会は、それほど多くありません。
私は20年以上、姿勢や歩き方をお伝えする中で、本当にたくさんの体と向き合ってきました。
肩こりや腰痛だけではありません。
・冷え
・むくみ
・便秘
・生理痛
・外反母趾
・側弯症
・臼蓋形成不全
そして、妊娠や出産を経験された方々のお話も伺ってきました。
一見すると、まったく別の悩みに見えます。
でも、長年体を見続けるうちに、ある共通点が見えてきました。
それは、
体が本来持っている働きを、十分に発揮しにくい状態になっていること。
だから私は、
症状だけを見るのではなく、
体が本来働きやすい環境そのものを整えることを大切にするようになりました。
「何を取り入れるか」の前に、「届けられる体か」

妊娠について調べると、
・栄養バランスを見直すこと
・適正体重を維持すること
・適度な運動をすること。
・ストレスをためないこと
そのようなことが挙げられています。
どれも、とても大切なことです。
でも私は、
もう一つ大切だと考えている視点があります。
それは、
「届けられる体になっているか」
ということです。
どれほど良い栄養を摂っても、その栄養を運ぶのは血液です。
酸素を届けるのも血液です。
そして私たちの体は、
呼吸によって動く横隔膜や肋骨、
血液を送り出す心臓、
内臓の働きなどが、
互いに影響し合いながら働いています。
呼吸がしやすい体には、
胸郭や横隔膜が伸びやかに動ける空間が必要です。
その空間を保つためには、
姿勢や歩き方、
そして日常の体の使い方が関わります。
つまり、
「何を取り入れるか」
だけではなく、
「取り入れたものを、体のすみずみに届けられる状態か」
という視点も、とても大切なのです。
これは妊娠だけのお話ではありません。
・冷えも
・むくみも
・便秘も
・疲れやすさも
体のさまざまな働きに共通する土台だと、私は考えています。
私がお伝えしているのは、「呼吸法」ではありません
「呼吸が大切」と聞くと、
深呼吸や、
〇〇呼吸法を思い浮かべる方も多いかもしれません。
でも、私がお伝えしているのは、呼吸のやり方ではありません。
まず、
「なぜ呼吸が浅くなっているのか。」
そこを一緒に見つけていきます。
呼吸に関わる筋肉の中で、どこが動きにくくなっているのか。
横隔膜や肋骨は、今どのように動いているのか。
その方に合わせて、
呼吸筋が自然に動きやすくなる体勢で練習すると、
「あれ?こんなに楽に息が入るんだ。」
という感覚が生まれます。
呼吸しやすさが、体の状態を教えてくれる
そして次に、
呼吸しやすい姿勢。
呼吸しづらい姿勢。
その違いをご自身の体で感じていただきます。
すると、
「良い姿勢だから呼吸しやすい。」
ではなく、
「呼吸がしやすいことが、今の体のバランスを教えてくれる。」
ということが分かるようになります。
私は、この感覚をとても大切にしています。
小さな気づきが、生活そのものを変えていく
前章でお伝えしたように、
呼吸しやすさは、
今の体のバランスを知る目安になります。
そして、その小さな気づきは、
レッスンの時間だけではなく、
日々の暮らしの中で積み重なっていきます。
S子さんは、まさにそのことを実践してくださいました。
「毎日セルフケアを頑張った」ではありませんでした
今回、改めてお話を伺って、
私が一番嬉しかったことがあります。
それは、
「毎日セルフケアを頑張りました。」というお話ではなかったことです。
生活そのものが、体づくりになっていました
受講後、日常で続けていたことをお聞きすると、このように答えてくださいました。

寝る前に肩を抱いて、膝を曲げて腰をおろし、ゆっくり呼吸をしています。
足に違和感がある時は骨盤の高さを手で触ったりしてズレていないかチェックしています。
トイレに入ったら上を見て、肩が前に巻いてないか、見づらかったら肩を持ってぐるぐるしたりしています。
私は、この回答を読んで思わず笑顔になりました。
違和感に気づいたら、少し確認する
どれも特別なことではありません。
長い時間をかけてセルフケアをしているわけでもありません。
・違和感があれば少し確認する
・呼吸がしやすいか感じてみる
・少し体を見直してみる
その積み重ねが、生活の中に自然と溶け込んでいました。

私は以前から、
「生活することが体づくり」
とお伝えしています。
今回のお話を伺い、
S子さんは、そのことを2年間、
暮らしの中で実践してくださっていたのだと感じました。
妊娠中も、体の声を聞いていました
妊娠中についても、このように話してくださいました。

お腹が大きくなるにつれて、腰が反っていきそうになったので、暇があれば立ち方も座った時も骨盤が後傾にならないよう繰り返し見直していました。
臨月には横隔膜もどこにある?状態でしたが、傘のイメージで続けていました。
呼吸を頑張るのではなく、呼吸しやすさを感じる
私が印象的だったのは、
呼吸を頑張って練習していたのではないということです。
その時々の体に合わせて、
「今、呼吸しやすいかな。」と、自分の体と対話されていたことです。
私は講座で、
横隔膜や肋骨がどのように動くのか、
呼吸筋が動きやすくなる体勢とはどのようなものかをお伝えしました。
それは、「○○呼吸法」を覚えていただくためではありません。
呼吸がしやすい状態を、自分で感じ取れるようになっていただくためです。
Sさんは、その感覚を生活の中で大切に育ててくださいました。
出産の日に思い出してくださったこと
S子さんは、こんなお話も聞かせてくださいました。

陣痛の時に助産師さんから
「吐く息を長くすると痛みが和らぐよ。」とアドバイスをいただきました。呼吸していると、「上手だね。」と褒めてもらえたのを思い出しました(笑)。
そして出産後、助産師さんから、
「胎盤と臍の緒が立派で、たくさん赤ちゃんに栄養と酸素が届いていましたね。」
と言われた時のお気持ちについては、
このように話してくださいました。

高齢出産だったことで、元気に育っているか不安もあった中で、助産師さんの言葉にとても感激しました。
たくさん呼吸していたからだと思い、のりこ先生に思わずLINEをしていました(笑)。
呼吸は、特別な時間だけのものではありません
このお話を伺い、
私は改めて、
呼吸は特別な時間だけ行うものではなく、
毎日の積み重ねなのだと感じました。
産後も、「特別なこと」はしていませんでした

現在は美容師のお仕事も少しずつ再開されています。
その中で、このようなお話もしてくださいました。

抱っこ紐は肩が前に持っていかれ、体に負担が大きいことが分かりました。
首が据わってからは、おんぶ専門です。
物理的な重さはありますが、筋肉が育って日々たくましくなっています。
気にかけていたのは、いつものことだけ
そして、
私が一番心に残ったのは、この言葉でした。

産後に特別な事をせず、いつも気にかけている事だけで気がついたら身体が元に戻った事は、本当に有り難い事です。
さらに、
今日来られたお客様は、
「産前より細い」と、ビックリしてました!
ダイエットしたのかと聞かれました!
と、教えてくださいました。
私は、この一文に、
S子さんが2年間積み重ねてこられた日々が、そのまま表れているように感じました。
「足す」よりも、「削る」という考え方
S子さんのお話から考えられることがあります。
それは、
体は何かをたくさん「足す」ことで変わるとは限らないということです。
体を良くしようと思うと、
・運動を始める
・ストレッチを増やす
・セルフケアを増やす
・健康習慣を増やす
そんなふうに、
「何を足そうか」
と考える方が多いように思います。
でも私は、まず別の視点から体を見ています。
体が本来働くことを邪魔しているものは何だろう
それは、
「体が本来働くことを邪魔しているものは何だろう。」
という視点です。
例えば、
・無意識の緊張
・崩れた重心
・過剰な力み
・浅くなった呼吸
そして、
・体に染みついた「ねじれグセ」
それらが少しずつ減っていくと、
体は本来持っている働きを発揮しやすくなります。
以前公開した『体内インフラを整える』の記事では、このことを次のように書きました。
手放すとは、何かを諦めることではありません。
本来の働きを取り戻すために、余計なものを削っていくことです。
無意識の緊張。
崩れた重心。
過剰な力み。
浅くなった呼吸。
そして、
「やめたら不安になる」という思い込み。
それらを少しずつ外していくと、体は静かに整い始めます。
S子さんの日々の取り組みは、
私が「削る」という言葉でお伝えしてきたことを、そのまま形にしたようなものでした。
特別な運動を続けたわけではありません。
毎日長時間セルフケアを続けたわけでもありません。
日常の中で、
「今日は呼吸しやすいかな。」
「肩が前に入っていないかな。」
「少し反っているかな。」
そんな小さな気づきを積み重ねながら、
体が働きやすい状態へと戻していかれました。
「増やす」ではなく「ため込まない」
つまり、
何かを増やしたというより、
体の働きを邪魔していたものを、その都度ため込まなかった。
そんな毎日だったのではないかと思います。
私は、この考え方がとても好きです。
なぜなら、
「頑張り続けなければ維持できない体づくり」
ではなく、
生活そのものが、
自然に体を整える時間へと変わっていくからです。
以前の記事で、私はこんなことを書きました。
私は、特別な運動をしていません。
それでも、長く歩いても疲れない。
体型が崩れない。
不調が出ない。
ただし、何もしていないわけではありません。
歩きたいから歩く。
動きたいから動く。
やりたいことをやる。
その日常の中で、質の良い動きが自然と繰り返されています。
生活そのものが、体を整える働きになっています。
今回のお話は、
私がお伝えしている「削る体づくり」が、
日々の暮らしの中でどのように積み重なっていくのかを感じさせてくださいました。
私が変えるのではありません
私は、講座やレッスンで、
「自分で自分を守れるようになってください。」
ということを、何度もお伝えしています。
なぜなら、
毎日24時間、自分の体と一緒に過ごすのは、私ではなく、ご本人だからです。
レッスンの時間は限られています。
でも、
その後もずっと続いていく毎日の暮らしこそが、体をつくっていきます。
だから私は、
「正しい姿勢を覚えてください。」
とは、お伝えしていません。
「今、呼吸はしやすいですか。」
「体は楽ですか。」
「違和感はありませんか。」
そんなふうに、
自分の体からのサインに気づけるようになっていただきたいのです。
自分で自分を守れるようになってほしい
体は、
毎日、小さなサインを送ってくれています。
呼吸が浅くなっている。
肩に力が入っている。
少し反っている。
少しねじれている。
その小さなサインに気づけるようになると、
無理をする前に、少し整えることができます。
その積み重ねが、やがて、
「自分で自分を守る力」になっていきます。
私は、
誰かの体を変えることはできません。
でも、
体が本来の働きを発揮しやすい状態へと導くための考え方や、その方法をお伝えすることはできます。
そして、それを日々の暮らしの中で育てていくのは、ご本人です。
S子さんのお話は、
「毎日セルフケアを頑張りました。」
というものではありませんでした。
その時々のご自身の体に目を向けながら、
生活の中で自然に整えてこられたというものでした。
それは、
私がお伝えしたかったこと、そのものでした。
S子さんの日々の暮らしは、
私が20年間お伝えし続けてきた
「生活することが体づくり」という考え方を、静かに映し出してくださいました。
S子さん、このたびは大切なお話を聞かせてくださり、本当にありがとうございました。
【Information】
■パーソナル・ボディリコンディショニングコース
10月スタート6期生 8/8(土)募集開始
本コースは定員制のため、募集開始後に満席となる場合があります。
また、募集を行わない期もあります。
次回募集をご希望の方は、コース詳細をご覧ください。
▶︎コース詳細・お申込みはこちら
YURUKU®についてさらに知りたい方へ
■体が整わない理由
姿勢や歩き方を整えようとしても、なぜ体は変わらないのか。
その理由を、日常の動きにある「ねじれグセ」という視点から解説しています。
▶姿勢と歩き方は正さない|ねじれグセを解くことで体は自然に整う
■ 身体地図から見る、体の変化
身体は、頭で考えている「自分の体の位置」と、実際の体の状態が一致しているとは限りません。
身体地図が変わると、身体の使い方も変わっていく。
そんな新しい発見についてお伝えしています。
▶また一つ、新しい発見がありました。──身体地図が変わると、身体も変わる
■ 講座・コース案内
姿勢や歩き方の「ねじれグセ」を整え、
体本来のバランスを取り戻していくための講座・コースをご案内しています。
▶講座・コース案内|YURUKU®受講案内
公式LINEご登録が4,000名様を超えました。
その場しのぎではなく、根本から体を育てたい方に向けて発信をしています。

