大人バレエ不調の原因「パッセで右のお尻が痛くなる」

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大人バレエ不調の原因

大人バレエに打ち込む方のレッスン 

パーソナルレッスンコース(パーソナル•コンプリートコース)を修了されたSさんよりレッスンのご感想を頂きました。 

Sさんは、大人バレエにかなり以前から打ち込んでおられ、週3回が基本で、多い時は週5回もレッスンに通われていました。 
 
まずは、パーソナルレッスンをスタートされたばかりの頃にブログに書かせて頂いたお話からご紹介させて頂きます。 
 
Sさんのお悩みは右半身の違和感。 
また、顎関節症お顔に左右差が出てきていることも気にされていました。 

顎関節症とのことだったので、頭部を歪ませる感覚のズレの修正を初回と2回目のレッスンで行いました。 

良い動きの感覚を掴んで頂くと、首がスーッと立ち、肩が開いて下がり、胸が引き上がり・・・と、全身のバランスが一気に変わりました。 

当時、Sさんはご自身のお体の変化にとても驚かれ、「実は、バレエをやっていまして‥」と、大人バレエをなさっているお話を、この時はじめてお聞かせくださったのです。 

今までは、首を起こすことも、肩を下げることも、胸を引き上げることも、意識して頑張ってやる!という感じだったそうです。 

頑張っているのに、踊っている映像をご覧になると、なんだか首の位置がイマイチだと感じることがよくあるとおっしゃっていました。

2回目のレッスン後に頂いたメッセージ

昨日のレッスンで凄く感じた事は、顎がさがり(力を抜く)頭が良い位置に来ると背中も良い位置に入る(引き上げられる)という事でした 
※「顎がさがり」とは、顎が奥に移動することです。 

そして昨日のレッスンの椅子で腰骨を開きやすくしながら緩める動きは、さらに(股関節の)外旋をしやすくなり、背中や頭にも身体のラインがつながると思いました

大人バレエあるあるですが、巻き肩のままだと背中が入らないのでほとんどの人が肩が上がったまま (僧帽筋がもりあがった状態で)やってるので、昨日のレッスンで顎、頭の位置がほんとに大事だなとつくづく思いました。 

私が先生に習おうと思ったのは、捩れが上半身と下半身の繋がりを邪魔してるからだと思い、それを取るとこでバレエが上達すると思ったからなんです。 

土台の足が何よりも大事なので、先生にこれから足の捩れやその他色々教えて頂けると上半身と下半身がより繋がり痛みなく踊りやすくなっていくと思って楽しみです

宜しくお願い致します😊 

バレエの基本ポジション

私は、バレエを習ったことはありませんが、基本ポジションは6つあり、6番目の「パラレル」という名のポジションが膝と つま先を正面に向けて立つ姿勢だということを聞いたことがあります。

バレエではアンドゥオールと言われる、つま先を外に向ける姿勢がありますが、パラレルに立ち返ることで基本姿勢を整えるのだそうです。 

※3番は使われることがあまり無いらしく、フリーイラストでも見当たらず掲載していません。

アンドゥオールについて調べてみると、 つま先と膝を同じ方向に向け、股関節から外旋するものとありました。 

パラレルで整えた姿勢のまま股関節を外旋させることが重要なので、パラレルがうまくできないとなると、アンドゥオールが良い状態にはならないということです。

長年、姿勢と歩き方の指導をさせて頂く中で、女性の方で股関節を外旋させる感覚がお体で理解できていない方にたくさん出会っているので、大人になってからバレエを勉強されている方で、股関節からではなく膝関節で外旋させてしまっている方は少なくないのでは?と、実は危惧しています。 

そして実際に、股関節や膝関節の不調の他、腰痛などを感じるようになられた方もおられます。

古典舞踊の基本姿勢

私は、バレエのニュートラルな姿勢がYURUKU®で提唱しているつま先と膝を正面に向ける姿勢であることから、古典舞踊の基本姿勢に興味を持ち、ダンスの歴史について調べることにしました。 

そこでわかったことは、世界最古のダンスは、紀元前5世紀頃の古代エジプトの壁画にベリーダンスを踊る女性ダンサーたちの絵が描かれていることから、ベリーダンスではないかと言われているということです。

ベリーダンスは、大地の豊穣と子孫繁栄を願い、神に捧げた踊りだと言われています。 
ベリーダンスの基本姿勢も、つま先と膝を正面に向けるのだそうです。

続いて、西暦500年~600年頃が起源ではないかと言われているフラダンス。 

フラダンスベリーダンスと同じく、神に捧げる神聖な踊りだと言われており、基本姿勢もつま先と膝を正面に向けるのだそうです。

最後にバレエの歴史について調べてみました。

バレエの起源は14世紀~15世紀(ルネサンス期)、イタリア宮廷での余興で踊られていたものだと言われ、その後フランスに広まり、ルイ14世によりバレエの地位が確立され、バレエが体系化されたと言われています。 

バレエの基本姿勢が明確なものになったのはその頃なのでしょうね。

現代は様々なダンスがありますが、プロのダンサーの方はバレエを基礎としている方が多いとお聞きしますので、パラレルの姿勢はダンスの基本とも言えるのではないでしょうか。

つま先と膝を正面に向ける姿勢にこだわる理由 

この写真は、53歳の時に撮影したものです。
つま先と膝を正面に向けていることが分かりやすいのでアップしました。

Sさんから2回目のレッスン後に頂いたメッセージにも「土台の足が何よりも大事」と書かれていましたが、私がなぜ、つま先と膝を正面に向ける足元にこだわるのかをお話します。 

まず、歩いていきたい(進みたい)方向に向けるのはつま先ですし、前に進む動作の始まりは、そのつま先の方向に膝頭を向け、股関節と膝関節を屈曲・足関節(足首)を底屈・MP関節(足趾の付け根)を背屈させていくことだからです。 
 
また私にとっての姿勢(立ち方)とは、その場に居つくためではなく動くためのものなので、動きたいと思ったらすぐに動けるスタンバイ状態であることが理想なのです。 
 
それだけではなく、つま先と膝を正面に向けても真っすぐな脚であることにこだわり体作りを行ってきた結果、頭ではなく体で理解したことがあります。

それは、お腹やお尻の力を抜いても(脱力しても)姿勢が崩れず呼吸にも制限がかからず本当に楽だということです。

私は、力を出すことよりも、脱力できることの方が大切に思っています。
なぜなら、力を抜くことで軽やかに動け、 また力を出すことができるからです。

そのため、踊りの基本姿勢が、つま先と膝を正面に向ける姿勢であることに私は大いに納得するのです。 

パッセの動きでお尻が痛くなる

前述のSさんは、パッセの動きが続くと右のお尻が痛くなるとおっしゃっていました。 

パッセとは、画像のように軸になる脚の膝あたりに、もう片方の足の先を付けたポジションのことです。 
 
なぜ、右のお尻が痛くなってしまわれていたのかというと、右足を床から持ち上げる瞬間の動きに問題があったからです。

その動きに感覚のズレがあったため、楽に股関節を外旋させられない位置で、股関節の外旋(太ももを外向きにひねる動き)に使うお尻の筋肉である大殿筋や中殿筋後部・外旋六筋など(下図)酷使してしまう結果となっていたこと。

さらに、その事実は、パッセのたびに腰が持ち上がってしまっていたことを物語っています。

股関節の外旋がスムーズにできない位置で、パッセのポーズが綺麗に取れるぐらいに外旋させようとすると、腰を持ち上げないとバランスが取れないからです。
 
腰を持ち上げる時に使う筋肉(下図)も酷使していたはずなので、お尻の痛みだけでなく、腰も張ってしまっていたことでしょう。

床から足を持ち上げる瞬間からバランスが崩れていたので、パッセのポーズを取りながら修正しようとしても上手くいかないのです。

そして、特質すべきは、その右足を床から持ち上げる動きの問題は、バレエをしたから…ではなく、すでに日々の歩く動作に表れているということです。

右足を前に出そうとする瞬間の動きに同じ問題が潜んでいたのです。

歩くことは毎日繰り返しています。
その動作が基本となっているのですから、見直さずにいると、苦手なポーズは苦手なままとなり、気力で頑張れば頑張るほど体に負担をかけ、ねじれが強くなっていく場合があります。

ねじれが強くなると、歩いていてもお尻が痛くなったり腰が痛くなってしまいます。

Sさんには、なぜバレエで苦手なポーズがあるのか、なぜ体に痛みが出る箇所があるのかなど、様々なバレエのポーズを取って頂きながら、姿勢・歩き方講師の目線で日常動作から紐解きお伝えするといった、新鮮なレッスンをさせて頂くことができました。 

そして、あらゆる動作の基本は、やはり日常動作であるという思いは、さらに強くなりました。

Sさんから頂いたレッスンのご感想 

先生、1年間大変お世話になりました! 

毎回、学びが多く、自分の身体の状態とレッスン後の変化もとても良く分かり、日々の動きがどれだけ大事なのかを実感しました。 
 
バレエで痛みが出た所の対処法は気がついた時にやると和らぐのでそれを知れた事もほんとに感謝です! 
 
楽しさ、面白さをふんだんに取り入れたレッスンは精神的にも無理がなく、続けられたように思います。 
 
習った事を生活に生かしつつ、これからも身体を大切にしていきたいと思います。 
 
ありがとうございました。 

Sさん、これからも大好きなバレエを楽しく続けてください!


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