30年越しの答え合わせ──元国体選手が気づいた「ねじれグセ」と競技・日常動作のつながり

「このねじれグセのまま背泳ぎをしたら、左ばかり深く水をかいてしまうので、まっすぐ進みにくいと思いますよ^ ^」

レッスン中、そうお伝えした時、Kさんが驚いた表情で言われました。
「実は私、若い頃、水泳の選手だったんです。国体やインターハイにも出場していました。」

競泳用プールのレーンが並ぶ静かな水面

そして続けて、
「背泳ぎ、苦手だったんです。」
とおっしゃったのです。

私はそれまでKさんが元競泳選手だったことを知りませんでした。

ですが、体の使い方を見ていると、水の中でも同じことが起きていたのではないかと思ったのです。

違和感には、ずっと気づいていた

Kさんは現役時代を振り返り、こんなことを話してくださいました。

「いつも背泳してる時、左は水中をぐっと深くかけるのに右は左程すくえない気がしてました。

同じ様に、クロールは左が遠くまで大きく前に出せてるのに右はそうでもないな。
左は大きくかけて良くて、右が全然ダメなのだと思ってました。」

左腕を大きく前方へ伸ばしてクロールを泳ぐ競泳選手

また、

  • クロールは右呼吸が得意だった
  • 背泳ぎでは肩が回しにくかった
  • バタフライでは胸がしなりにくかった
  • 競泳用水着を着た時、左右のウエストの形が違うと感じていた

ということも教えてくださいました。

つまり、体の違和感そのものには気づいておられたのです。

これはKさんに限ったことではありません。

私は、オリンピック選手候補の方々や実業団選手の方々にも、姿勢や歩き方の指導をさせていただいた経験があります。

皆さん、自分の体と毎日向き合っています。

だから、
「右の動きが悪い」
「左の方が使いやすい」
「この動作だけ苦手」
といったことは、よく分かっておられるのです。

しかし、多くの場合、
なぜそうなるのかが分からないのです。

だから、もっと頑張る

違和感がある。
左右差がある。

すると人は、
「筋力が足りないのではないか」
「柔軟性が足りないのではないか」
「フォームが悪いのではないか」
と考えます。

もちろん、筋力も柔軟性も大切です。
私自身、NSCA-CPTを取得し、筋力トレーニングの重要性は十分理解しています。

筋肉を育てることも、柔軟性を高めることも必要です。
しかし、ここで見落とされがちなことがあります。

それは、
筋トレやストレッチをしている時にも、ねじれグセはそのまま現れる
ということです。

ラットプルダウンで背中を鍛える女性

多くの方は、自分では左右対称に体を動かしているつもりです。

ところが実際には、
肩関節を動かしているつもりで背骨をねじっていたり、
股関節を動かしているつもりで骨盤をねじっていたり、
肘や膝を無意識にねじっていたりします。

しかも、そのねじれは左右同じようには起きません。
左右非対称に起きていることがほとんどです。

その状態を知らないままトレーニングを続けると、
左右差を改善したいはずなのに、結果的に左右非対称の使い方を強化してしまうことがあります。

Kさんも当時、
左はできるのに右はできない。

もっと大きく動こう。
もっと深くかこう。

そうやって努力を重ねておられました。

でも、もし体そのものがねじれていたらどうでしょう。

左右差を埋めようと頑張ることで、さらにねじれを強めてしまうこともあるのです。

日常生活の中にも同じクセがあった

今回、取材の中でとても印象的だったお話があります。

右にカバンを掛け左手で手すりを持ち左荷重で立っていた通学時代について語る受講生のメッセージ

Kさんは中学・高校・大学時代、長時間の通学をされていました。
そしてこんなふうに教えてくださいました。

「電車で立つ時間が長く、右にカバンをかけて左で乗り降り口の手すり棒をもって左に体重かけて立ってました。

6年間、いえ、そのあとの大学4年、合わせて10年ほぼこの立ち方、持ち方をしていました。」

大きな通学バッグを肩にかけ電車内で立つ女子高校生

競泳と通学。
一見関係がないように思えます。

ですが、体にとってはどちらも「毎日の使い方」です。

日常生活の中で繰り返していた動きが、水の中でもそのまま現れていた可能性があります。

体は水の中でも、陸の上でも同じように使われていた

レッスンでKさんのねじれグセを紐解いていくと、
肩関節を動かしているつもりでも、肩甲骨や背骨が大きく関与していること、
しかもそれが左右非対称に起きていることが見えてきました。

するとKさんは、

競技中の体の使い方と日常動作が同じだったことに気づき30年越しの答え合わせになったという受講生のメッセージ

「今振り返ると競技中の体の使い方、日常動作そのまんまだ、、、と気づきました。

水泳の話が出てきて、

『これぞまさに!!泳ぎと日常そのままつながってるやん!』って。

今30年程時を経て答え合わせできたような気がしました。」

と話してくださいました。

私はこの言葉がとても印象に残っています。

30年前に感じていた違和感と、今の体の使い方が一本の線でつながった瞬間だったからです。

体は過去の使い方を覚えている

私のレッスンでは、

「そういえば昔、スキーで骨折したんです」
「若い頃にひどい捻挫をしました」

という話が後から出てくることがあります。

スキーで転倒した女性と足首を押さえる女性

ご本人も忘れていたような昔の出来事です。
でも体は覚えています。

痛い足をかばった。
痛くない側ばかり使った。
その動きが習慣になった。
そして何年、何十年と続いた。

体は過去の使い方を覚えているのです。

だから私は、現在の不調や左右差を見る時、
筋力や柔軟性だけではなく、

「どんなふうに体を使ってきたのだろう」

という視点を大切にしています。

努力している人ほど、自分を責めてしまう

私が特にお伝えしたいのはここです。

もし、左右差や動きにくさの原因が日常のねじれグセにあった場合、
どれだけ努力しても解消されないことがあります。

すると人は、

「努力が足りないのだろうか」
「筋力が足りないのだろうか」
「柔軟性が足りないのだろうか」
「実力がないのだろうか」

と考え始めます。

今でも忘れられない出来事があります。
以前、陸上競技選手の方々に姿勢と歩き方の指導をさせていただいた時のことです。

トラックが伸びる陸上競技場

故障を抱えていた選手の方が、私に話しかけてくださいました。
その方の表情は、とても悲しそうでした。

一生懸命努力している。
それでも思うように動けない。
その苦しさが伝わってきました。

当時の私は、現在行っているような「ねじれグセを紐解くパーソナルレッスン」はまだ行っておらず、
ねじれの方向に合わせての調整法やバランスの取り方をお伝えすることしかできませんでした。

今振り返ると、もっとお役に立てたかもしれないという思いがあります。

だからこそ現在は、

「何が起きているのか」

を一緒に読み解くことを大切にしています。

努力しているのに故障してしまう。
思うように結果が出ない。

その原因が、実力不足ではなく、日常の体の使い方のクセにある可能性もあるからです。

「右が弱いですね」では答えにならないこともある

実はKさんのような方は少なくありません。

体の左右差は分かっている。
動きにくい場所も分かっている。

なのに、

「右が弱いですね」
「左が硬いですね」

と言われても、

心の中では、

「それは知っているんです」

と思っておられることが多いのです。

本当に知りたいのは、
なぜそうなっているのか。
どうすれば変えられるのか。

だからこそ、多くの方がネットで探し続け、YURUKUにたどり着いてくださるのだと思います。

私のもとには、「自分の体で何が起きているのか知りたい」という方が多く来られます

不調を改善したい。
痛みを減らしたい。

それももちろん大切です。

でも実際には、

「私の体で何が起きているのか知りたい」

という思いを持って来られる方がとても多いのです。

そして、それが分かった時、
長年抱えていたモヤモヤが解け始めます。

30年越しの答え合わせ

Kさんはレッスン後、こんなメッセージをくださいました。

自分のねじれ方が分かり体を観察することが楽しくなったという受講生のメッセージ

「毎日体のことを考えない日がなくなり、

そして『あ!』って気づくのも最近は楽しいな、面白いなと思うようになってきました。」

私はこの変化がとても素晴らしいと思っています。

体を責めるのではなく、
体を観察するようになった。

できないことに目を向けるのではなく、
なぜそうなるのかを知ろうとするようになった。

それこそが、体と向き合うことなのだと思います。

自分にとってのベストバランスを知るために

私は、正しい姿勢を目指しましょうとはお伝えしていません。

左右対称になりましょうともお伝えしていません。

まず大切なのは、
自分の体で何が起きているのかを知ること。
どんなねじれグセがあるのかを知ること。

そして、自分にとってのベストバランスを見つけていくことです。

元競泳選手の受講生が、水中でも陸上でもねじれて体を使っていたことに気づいたという感想メッセージ

Kさんは最後に、

「もっともっと自分の動きが興味深くなりました!」

と書いてくださいました。

体を責めるのではなく、観察する。
できないことに落ち込むのではなく、理由を知る。

その先に、本当の意味で体と向き合う楽しさがあるのだと思います。

自分で泳ぎ始める日

レッスン最終日の前日、Kさんからこんなメッセージが届きました。

痛いところがないので、明日は何を伝えようか悩んでいます😅

以前のKさんは、レッスンのたびに身体の痛みやしびれなど違和感を教えてくださり、
LINEでもたくさんご質問をくださいました。

もうこのまま良くならないのではないか…と
不安になられることもありました。

それが今では、
「何を伝えよう…?」と悩まれるほどになったのです。

もちろん、その日のレッスンでも新しい発見はありました。

身体のバランスが整ってくると、
今まで気にならなかった細かな動きやクセが見えてきます。
だから、新しい宿題もお渡ししました^^

そして、レッスンの中でこんなお話になりました。

現在は、お仕事や子育てで忙しく、競泳からは離れているKさん。

「子どもが大きくなったら、また泳ぎたいなと思っています。」
そうお話しくださいました。

そこで私は、
「泳ぎながら体のバランスを研究すると、面白いかもしれませんね😊」
とお伝えしました。

例えば、足を置くイメージが少し変わるだけで骨盤のねじれが変わり、
その変化が腕の動きにも影響することがあります。

水の中なら、また違った発見があるかもしれません。

するとKさんは、
「面白そう!」
と笑顔で返してくださいました。

現役時代は、速く泳ぐために積み重ねてきた練習。
でもこれからは、速さを競うためではなく、

「今日はどんな発見があるだろう。」

そんな気持ちで泳ぐ時間が始まるのかもしれません。

レッスン終了後には、このようなメッセージもいただきました。

YURUKU®パーソナル・ボディリコンディショニングを1年間受講した元国体選手Kさんからの感想。「365日毎日レッスンでした」と綴られたメッセージ。

あのまま突き進んでたら、
知らずに過ごしてたらと考えたらゾッとしました。

Zoomでレッスンした時間はたったの12時間程ですが、
振り返ると365日毎日レッスンでした😊

YURUKU®パーソナル・ボディリコンディショニングを修了した元国体選手Kさんからの感想。「絶対先の人生変わりました」と綴られたメッセージ。

今では少し不調が出ても訂正できて
すぐいい調子に立て直せる様になったことで、
一旦レッスンを終える決断をしました。

自分の捻れ方、動きのクセを
沢山教えていただけたことが武器です。

絶対先の人生変わりました😊

私は、これ以上嬉しい言葉はありません。

身体は、一生付き合っていくものです。
だから、本当のゴールは「先生がいなくても、自分で身体と向き合えること」。

Kさんは、そのスタートラインに立たれました。

30年越しの答え合わせを終えたKさん。

これからは、ご自身の身体と対話しながら、

自分で泳ぎ始めます。

【Information】

パーソナル・ボディリコンディショニングコース

12月スタート8期生の募集は、10月3日(土)8:00に開始します。
7期生は満席となりました(9/5現在)

本コースは定員制のため、募集を行わない期や、募集開始後に満席となる場合があります。

次回募集をご希望の方は、コース詳細をご覧ください。
(募集開始のご案内は▶︎公式LINEでお届けしています。)
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